フランスGPウラ観戦記 ミシュランの誤算
アメリカGPに続き、ミシュランはブリヂストンに完敗した。
圧倒的優位と言われていた地元での敗戦だけに衝撃は大きい。
GP開催100周年を祝う、地元GPでミシュランは必勝を期すために10種類ものタイヤを持ち込んだ。
しかし、ソフト側のタイヤはグレイニングが出て、それが消えない為に全く使えず、一台を除き全てのミシュランユーザーがハード側のタイヤを使わざるを得なかった。
その結果、予選上位5台中4台をブリヂストンユーザーがしめることになる。
ここ、マニクールサーキットはパッシングポイントが1カ所しかなく、予選順位が決勝レースの結果に大きな影響を及ぼす。
その予選での結果が、ほぼ決勝レースを支配した。
一方、ブリヂストンはほぼ全車が、やわらかいタイヤをチョイス。
上位のフェラーリとトヨタでは、フェラーリがよりやわらかく、トヨタはやや固めを選択。
それが予選結果に表れた。
ただし、トヨタはその耐久性を活かし、ツーストップを選択。
ツゥルーリのリタイヤがなければ、4位5位を得ていただろう。
予想以上に気温の上がったフランスGPだったが、やわらかいタイヤを選んだ、フェラーリも耐久性には全く問題がなかった。
ブリヂストンとしては、もっとやわらかいタイヤを持ち込んでも問題なかった。
これでは、スタートする前から勝負は決まっていた。
フェラーリの二台は共にユーズドのタイヤでスタート。
レース序盤は、コース状況が悪く新品タイヤを履いてもその効果が出にくいためだ。
一方、アロンソは新品タイヤを履いてスタート。
レース序盤は、新品タイヤを履いたアロンソが、マッサを追い立てるが、抜けない。
その間に、ミハエル・シューマッハーはリードを広げ、そのまま逃げ切ってしまう。
固めのタイヤを履いているアロンソは、ミハエル・シューマッハーのペースにはついていけない。
ここで、アロンソは3回ストップから、2回ストップへ変更。
耐久性重視のタイヤを活かして、ロングランをコンスタントなタイムを出し続ける。
3回ストップのマッサは中盤で、タイムが思うように伸びない。
結局、マッサは3回目のピットストップの間に、アロンソに先行され、3位に終わる。
ミハエル・シューマッハーが優勝したフェラーリだったが、アロンソが2位になったことで2ポイントしかドライバーチャンピオンシップのポイントを縮められなかった。
これで、ミハエルとアロンソの差は17ポイント。
マッサが2位だったら15ポイントと、アロンソにかかるプレッシャーが格段に増しただろうから、本当に惜しいレースとなった。
逆に言えば、タイヤで不利になった場合でも、2位になるアロンソは素晴らしいドライバーだ。
これだから、昨年チャンピオンになれたのだし、今年もチャンピオンシップをリードしている。
マッサにアロンソを上回るのを期待するのは酷だろう。
残りレースが少なくなってきた今、両ドライバーともリタイヤだけは絶対に避けなければいけない。
ドイツGPとハンガリーGPが終了すると、残り5戦。
いよいよチャンピオン争いも最終局面。
緊迫した戦いが続きそうだ。
- 2006 Rd.11 フランスGP観戦記
- 2006 Rd12 ドイツGP観戦記