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最高と最悪の3年ぶりの鈴鹿 日本GP観戦記

最高な出来事と最悪の出来事がミックスされた悲喜こもごもの日本GPとなりました。最悪な出来事は日曜日が雨でレースが中断され観客が寒い雨の中2時間も待たされたことと、フェルスタッペンがチャンピオンになったのに、ルールが複雑すぎてチームも本人も(そして恐らく観客も)レース終了後、すぐに自分たちがチャンピオンになったことに気が付かず、盛り上がりに掛けたこと。マシンを回収するためのクレーンがコース上を走って、ガスリーが危険だったことです。

そして最高な出来事は、2時間待ったとはいえレースが(45分だけ)再開されたことと、フェルスタッペンがホンダの地元の鈴鹿でチャンピオンになれたのを見れたこと、鈴鹿をこよなく愛するベッテルが最後尾から6位入賞できたことです。

それでは悲喜こもごもの日本GPを振り返りましょう。

難しいコンディションの中、卓越した走りを見せつけて二度目のワールドチャンピオンを決めたフェルスタッペン

▽混乱のオープニングラップ

コロナ感染拡大で2年間開催されなかった鈴鹿での日本GP。F1は再びこの日出ずる国に戻ってきました。

台風はなかったけれど金曜日の走行はウェットで鈴鹿では見慣れた光景でした。この滑りやすいコンディションの中、フェラーリはカルロス・サインツが短いレースシミュレーションを敢行し、強さを見せます。しかし、レース48時間前の天気予報では、日曜日はチェッカーフラッグの後に雨が降ると予報されていたため、それはあまり意味がないと思われました。

土曜日のドライでのフリー走行でフェルスタッペンがトップタイムをマークし、予選で、ルクレールに100分の1の差をつけてポールポジションを獲得したことで、スリリングな決勝レースが見られると思われました。この時点で天気予報はレース終盤に雨が降る可能性に触れていました。

一夜明けると天気予報が変更され、レースが始まる前に雨が降り始めました。しかし、前戦シンガポールGPのようにスタート時刻が遅れることはありませんでした。

ただ路面はかなり濡れていたものの全車インターミディエイトを履き、スタンディングスタートとなりました。この判断は雨の量というよりは、ウェットタイヤよりタイムの出るインターミディエイトでスタートとして、後々路面が乾いてきてインターミディエイトがベストになるという判断(というか希望的観測)になりました。しかしながらこの判断は難しかったようです。スタート直後にクラッシュやスピンが続出しレースはすぐに中断されます。

フェルスタッペンは、シンガポールGPでエンストしてアンチストールを発動させ大きく遅れたので、今回はホイールスピンを抑えるために2速でスタートすることを試みました。グリッドに向かう途中でクラッチを適切に管理しようとしましたがうまくいかず、またもひどいスタートとなりました。

フェルスタッペンが動き始めると、回転数が大きく落ち、頭が前後に激しく揺れます。そのためフロントローのルクレールが横に並び、さらに前に出始めます。ただ幸いなことに、他のドライバーも路面が濡れているので加速が鈍く、フェルスタッペンが大きく遅れることはありませんでした。しかしルクレールに対しては加速が鈍り遅れます。

最後まで2位の座を守り、フェルスタッペンのタイトルを阻止しようとしたルクレールだが、最後に力尽きた

ルクレールは半車身ほどの差でトップに立ち、イン側のラインで第1コーナーに進入し、レースをリードするかに見えました。しかしフェルスタッペンは、ターン1はかなりイン側に向けて角度がついていて、よりグリップの高いアウト側からアプローチし一歩も引きません。その結果、フェルスタッペンはアウト側からより高いスピードで侵入し、イン側でスピードを少し落とさざるを得ないルクレールをパスして、トップを維持することに成功しました。

「アウト側にかなりグリップがあったから、そこで少し遅れてブレーキをかけることができたんだ」とフェルスタッペンは説明しました。「とても際どかったけど、みんなはそれを見たいんだよね」。

これにはルクレールも少し驚いたのではないでしょうか。ここでフェルスタッペンがリスクを冒す理由はありません。彼は大量のポイントをリードしていて、最悪2位でもなんの問題もないのですから。実際3年前の日本GPではフェルスタッペンがアウトを走り、ルクレールがインを走った状況で2台が接触しフェルスタッペンはコースアウトしてレースを失いました。つまり彼はマシンをコントロールできていると感じ、実際にこの難しいコンディションの中でマシンを完全にコントロールできていました。

トップにたったフェルスタッペンは視界が開けていて、その後は問題なくオープニングラップを完了させます。しかし、後方の集団はそうはいきません。9番手スタートのベッテルはターン1でアロンソと接触し、スピンしてアウト側へ。ルーキーの周は単独でスピンし、アレックス・アルボンとケビン・マグヌッセンは接触し、ウィリアムズのラジエーターが損傷して水漏れを起こし、水圧不足でエンジンが停止してしまいました。

また、サインツもリタイヤしたグループの中に加わってしまいました。彼はターン1の進入時に水煙で何も見えずスロットルを戻し、ペレスの後ろの4番手に後退。後方の彼らは水しぶきで何も見えなません。その後、挽回を図ろうとしましたが、サインツのレースは突然終りを迎えます。ヘアピンを立ち上がりスプーンに向かう途中のターン12でギアチャンジをした際にリアタイヤが水たまりに乗り、アクアプレーニングが発生しサインツははなすすべもなくスピンしアウト側のバリアに突っ込んでコース上に止まりました。幸い後続のマシンが彼のマシンに激突することはありませんでした。

ウイリアムズが止まり、サインツもクラッシュしたので彼らを回収するためにセーフティカーが導入されました。そして1周半後の14時8分に、危険なコンディションと判断してマーシャルが赤旗を提示し、レースは中断されました。

スタートで遅れを取ったフェルスタッペンだが、ターン1でルクレールをアウトから抜いて優位にレースを進めた

ピットレーンに戻った後、ガスリーが興奮してなにかを訴えるシーンが放映されました。ウイング交換とサスペンションの変更でピットレーンからスタートしたピエール・ガスリーは後方から前方の集団を追いかけていました。

彼は視界が悪い中、サインツが弾き飛ばしたロレックスの広告看板をフロントに引っ掛けてしまい、ピットインしてフロントウイングを交換、フルウエットに交換してコースに戻り、セーフティカーの隊列に戻ろうと走っていたら、サインツのフェラーリを回収するためのトラクターがコース上にいたからです。

全車が回収車の横を通り過ぎましたが、彼らはセーフティカーの先導で走っていて、トラクター近くではセーフティカーが極端にスピードダウンして走行したので問題がありませんでした。ただタイヤ交換して遅れていたガスリーは前の集団に近づこうとし時速155kmでその横を通り過ぎたのです。2014年の(ガスリーの友人の)ジュール・ビアンキの致命的なクラッシュはハロ導入のきっかけとなりましたが、深刻な事故のあったサーキットでのこのニアミスは、ガスリーを激怒させました。

その後、断続的に雨が降る中、レースコントロールが14時50分にレースを再開するという情報を出しましたが、残り2分となったところでキャンセルされ、再開時間が未定のままレースの中断が続きます。メディカルカーは時折、路面状況を確認するためにコースに出るものの、一向にレースが再開される気配はありませんでした。

ところが16時04分にレースディレクターからメッセージが表示され、11分後にレースを再開します。ただしセーフティカーの先導でローリングスタートとなり、フルウェットタイヤでの走行が義務づけられレースは再スタートしました。

さぁ(短いながらも)レースの始まりです。

歴代総理として初めて日本GPを視察した岸田総理

▽格の違いを見せつけるフェルスタッペン

最初のフォーメーションラップから約135分後、レースは再開されました。セーフティカーが先導して周回を重ねます。ドライバーたちは視界は悪いが路面コンディションは十分良好であることを報告してきます。もちろん、前方の視界が開けているのはたった1人フェルスタッペンのみです。そして残り38分となった6周目から、本当のレースが再開されフェルスタッペンが1周で1.3秒のアドバンテージを築きます。

ベッテルとニコラス・ラティフィはすぐにピットインし、インターミディエイトに交換し、最後尾まで後退します。これで2台は大きくタイムを稼ぎ、ベッテルが最後尾から6位入賞する大きな原動力となりました。

これで最近のウェットコンディションでのレースでよく見られる光景で、フルウェットよりインターミディエイトの方が(アクアプレーニングが起こらない限りは)グリップがあるので、再びフルウェットタイヤの存在が疑問視されました。

アストンマーティンとウィリアムズはサイド・バイ・サイドでリリースされましたが、ラティフィの次のセクターはタイミングスクリーン上で紫色(全体ベストを意味する)に変わりタイヤ交換すべきことを示しました。

これを見て続々とタイヤ交換にピットに戻ります。フェルスタッペンもピットに飛び込み2.7秒でタイヤ交換し、ペレスもダブル交換を実施。この時、ペレスのマシンはフェルスタッペンのタイヤ交換を待ち、フェラーリの出口を塞ぐことになり、結果的にルクレールはペレスに邪魔をされタイヤ交換直後にスタートを待つことになり3.8秒も止まりをタイムロスしました。

ピレリのタイヤ交換タイミングリスト

タイヤ交換直後、ルクレールはフェルスタッペンより速く、優勝争いが盛り上がるかと思われたのですが、残念ながら徐々に乾いてくる路面に対して、ルクレールのタイヤはすぐにグリップが落ちてきてフェルスタッペンを追い上げるというよりは、ペレスからの猛攻を防ぐ展開になっていきます。

フェルスタッペンは、このレースで際立った存在感を示しました。路面が徐々に乾き始めると、ペースの上がらないフェラーリより1~1.5秒速いラップタイムを刻み続けますが、タイヤが終わる気配はありません。このパフォーマンスには、視界の良さというアドバンテージもありますが、もちろんそれだけが理由ではありません。アンダーステアを嫌うフェルスタッペンのために、フロントに重量配分を移動し軽量化したマシンをフェルスタッペンは楽々と乗りなします。この滑りやすいコンディションでオーバーステアのマシンを乗りこなすフェルスタッペンの技は常軌を逸していると言わざるを得ません。

フェラーリのペースダウンとタイヤのマネージメントの悪化はスパでFIAのポーポシングに関する技術指令の適用が関係していますし、またフェラーリが長年抱えてきたフロントタイヤのグレーニングの問題も影響しています。

しかしそうした要因がいくら重なったとしてもフェルスタッペンの才能は、この憂鬱な一日の終わりにも輝いていました。ルクレールがタイヤを持たせるのに悪戦苦闘している間に、フェルスタッペンは誰よりも速いペースを維持することができました。

「マシンはとても良かったんだけど、タイヤのケアもうまくいっていた。インターミディエイトは扱いが難しいんだけど、フロントタイヤを活かし続けることができたよ。それが僕に優れたペースを、特にセクター1で提供してくれた。フロントのグリップが少しでも優れていれば、かなり有利だ。とても楽しかったね」とフェルスタッペンは述べました。

世界でも珍しい八の字レイアウトを持つ鈴鹿サーキット

その結果、フェルスタッペンは26秒という大差をつけて優勝。これで今季12勝目となり、ミハエル・シューマッハ(2004年)とベッテル(2013年)が持つシーズン最多勝にあと1勝と迫りました。

しかし、最終的にはフェルスタッペンがペレスに27秒差で勝利したと公式には記録されています。それはペレスとルクレールのバトルがレースフィニッシュ後も続いたからです。

▽いい仕事をしたペレス

ペレスはルクレールよりいいペースで走っていて二人の差は1周あたり0.5秒とそれほど大きくはありませんが、フェラーリの後方に迫るには十分な速さでした。しかし抜くとなると話は別です。鈴鹿はただでさえ追い抜きが難しい上に、ウェットコンディションのレースで、DRSが使えません。そのためペレスはルクレールに追いついても抜くことができません。となると抜く方法はひとつ。ルクレールがミスをすることだけです。

ペレスはこう語っています。

「シャルルは本当にタフだったから、彼を抜くにはミスをさせるしかないと思ったんだ」。

それでもルクレールはこの滑りやすい路面をボロボロになったインターミディエイトで頑張りました。ペレスを抑え続けてフィニッシュまであとシケインのみというところまで持ってきました。

しかし彼のフロントタイヤは限界でした。彼はシケインを曲がりきれずに、そのまま真っすぐ走り抜けてしまいました。そしてペレスの前でコースに戻りましたが、立ち上がりの加速はペレスのほうがよく、ペレスはアウトから抜きにかかりますが、ルクレールがブロック。ルクレールは2位をキープしてチェッカーフラッグを受けましたが、その後審議対象となり、最終的に5秒加算のペナルティを受け、わずかに残っていたタイトル争いの望みが絶たれました。

これに対してフェラーリの代表である(日本には来ていなかった)マッティア・ビノットは当初、激怒していました。シンガポールGPでペレスのセーフティカー違反の審議に151分掛かったのに、今回の迅速なペナルティ判定に困惑していました。1週間前にはペレスは自分の主張をすることができたのに、ルクレールにはその機会すら与えられませんでした。

ビノットは確かにルクレールはシケインをショートカットしたが、オフロードでタイムをロスしており、タイムのゲインはなかったと主張したかった。

ただFIAはこの判定の理由として、「レースディレクターが以前から何回もドライバーブリーフィングで、順位を守る側がコースを外れて同じポジションに戻ればアドバンテージを得たと見なされることを何度も忠告している」ことを挙げています。さらに、サウジアラビアの周やマイアミのアロンソが同様の行為でペナルティを受けたことも理由として挙げてもいます。

この日も大活躍のセーフティカー

ただこれはFIAのファインプレーだったと思います。誰もレース終了して2時間後、帰路についてからフェルスタッペンがチャンピオンになったことを知りたくはないでしょう。それはテレビの視聴者にとっても同じですよね。

いずれにせよ、ルクレールはシーズン序盤に期待されたこのシーズンを2位で終えることさえも戦う必要があります。ペレスは、フェルスタッペンが2つ目のタイトルを獲得するために(特にシンガポールと日本で)積極的な役割を果たし、重要な場面で優れたチームメイトとなった結果、ランキング2位の座をルクレールと争うためにアメリカのテキサスに向かいます。

今シーズンの残り4戦、1つのチャンピオンシップが確定したレッドブルは、次回オースティンでフェラーリと同じかそれ以上の成績を残せば、2013年以来のコンストラクターズタイトルを獲得することができます。

▽混乱のフィニッシュ

フェルスタッペンの二度目のチャンピオンは、昨年の最終戦ほどではないにせよ、大きな混乱と論争を巻き起こすことになりました。

時間制限のある鈴鹿のレースでフェルスタッペンがゴールしたとき、そこには間違いなく混乱がありました。(FIA以外の)ドライバーも、チームも、メディアも、そしてファンも、彼が2回目のチャンピオンだと思っていませんでした。

昨年のベルギーGPの批判を受けて、FIAは今シーズン、レースが大幅に中断された場合のポイント配分に関する新しいルールを決めました。3時間のイベントの制限時間が来る前に少しでも多くの周回を重ねようと、レースは2時間の中断のあと再開され周回数は28周まで伸びました。これは予定されていた53周のうち半分以上が終了しています。しかし走行距離は75%未満だったため、フェルスタッペンには25点ではなく、19点が与えられると多くの人が考えていました。

しかし、レギュレーションの条文をよく読むと、ポイントが減点されるのはレースが中断され、「再開できない」場合のみとされています。今回はレースが約2時間中断されましたがレースは再開されたので、フェルスタッペンは(周回数の半分以上を走行したので)25点を獲得する権利がありました。しかし、(FIA以外の)誰もがフェルスタッペンのタイトルはアメリカGPまで待たなければならないと考えていました。

フェルスタッペンは約27秒の大差で勝利しました。ポイントが減算されるとすると、ルクレールが2位の場合、フェルスタッペンがチャンピオンを決定するにはファステストラップでの追加の1ポイントが必要と思われていました。しかしセルジオ・ペレスがルクレールをパスできなかったので、ファステストラップ狙いのタイヤ交換ができず、摩耗したインターミディエイトで走り続けました。そのため、アルファロメオの周がキャリア初めてのファステストラップを獲得し、ボーナスポイントを奪われてしまいました。

その結果、フェルスタッペンはタイトル防衛にあと1ポイントと迫っていましたが、タイトル決定はペレスとルクレールの結果次第でした。

水煙がすごくて、後ろのマシンは何も見えない状態

すり減ったタイヤを履くルクレールは、余裕のあるペレスをなんとか抑え込んでいましたが、最終ラップの最後のシケインでコースを通過できず、まっすぐ通り過ぎました。レース前にシケインを不通過してポジションを維持した場合はペナルティ対象になるとFIAは警告していました。しかしこの時点ではルクレール2位、ペレス3位でチェッカーフラッグを受けています。

フェルスタッペンのレースエンジニアであるジャンピエロ・ランビアゼは、フェルスタッペンに無線で「レースが終わったかどうかわからない」と説明しています。

時間制限には2種類あり、レースしている制限時間の2時間とイベント自体の制限時間の3時間です。例えば2時5分にスタートし、すぐに2時間中断して4時5分にレース再開した場合は、5時5分で3時間経つのでイベント制限時間が優先して適用されます。レース自体は1時間しか走行してないんですけどね。

なので日本GPでは赤旗中断からレース再開まで127分という長い中断があったため、イベント自体の制限時間の3時間がレース時間制限2時間より早く来てしまいました。

この場合、制限時間終了後「プラス1周」ではなく、時間制限になったラップ終了後にレースが終わります。ちなみにレース時間の2時間制限の場合は、時間切れのあと追加の1周走ってチェッカーフラッグとなります。ああややこしいww

フェルスタッペンがデグナーを通過したとき、チーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、アロンソに並ぶ32勝目を挙げたフェルスタッペンを祝福することも、チャンピオン獲得について言及することもありませんでした。

エンジニアのランビアーゼはこう言いました。「OK、マックス、レースが終わったかどうかで混乱があるようだ。レースは終わったと思う。でも、マシンをピットまで持ち帰ってくれ」。ルクレールもまた、「レースは終わったの?」とチームに聞いています。

コックピットから降りたフェルスタッペンは、いつものようにレッドブルのクルーと喜びをわかちあい、FIAの計量器まで歩いて行き、ペレスと話しました。ここでフェルスタッペンはパルクフェルメでのインタビューが始まるのを待ちます。MCのジョニー・ハーバートが会話をリードする中、フェルスタッペンは長い午後の時間を話し終わると、次の人に譲るために歩きだしました。

すると、FIAのメディア代表がフェルスタッペンに、2022年のタイトル争いのライバルであるルクレールがペレスとのバトルでシケインをカットしポジションを維持してアドバンテージを得たとして、5秒のペナルティを受けて3位に後退したことを明かしました。

このとき初めて、フェルスタッペンはチャンピオンになれるかもしれないことを知りました。この知らせが伝わると、ハーバートはチャンピオンかもしれないフェルスタッペンと再び話をしようとしました。しかし、フェルスタッペンは言葉を濁し、正直喜んでいいのか、どうなのか落ち着きを取り戻せませんでした。そして、再びメカニックの中に飛び込み、お祝いをしようとしましたが、観客席の中には事情が飲み込めなかった人がたくさんいたでしょう。

彼は後に、この一連の流れについてこう説明しました。

「彼らがポイントで何を決めるのか、まったくわからなかったよ。フィニッシュラインを超えたら、『よし、すごいレースだった。またポイントが取れた。でもまだ世界チャンピオンじゃないよね』ってね。そしてレース後にインタビューを受けたんだ。すると突然、メカニックたちが歓声を上げ始めて、どうしたんだ?と思った」

ホンダのロゴの前で勝利を祝うフェルスタッペン。ホンダってF1撤退したんだよね?ww

「そして、シャルルの代わりにチェコが2位になっていることに気づいたんだ。でも、それがフルポイントなのかハーフポイントなのか、あるいは75%なのか、まだわからなかった。[FIAのメディア代表が)僕のところに来て、僕が世界チャンピオンだと言ったんだ。それで祝杯をあげたんだ。そしたら突然、『いや、まだ1ポイント足りないよ』と言われたんだ。だから、『すごいな。ちょっと変な感じ』ってね。でも、最終的には十分なポイントを獲得できたので、再び世界チャンピオンになれた」と笑顔のダブルワールドチャンピオンが述べました。

表彰式前のドライバーの控室でも、フェルスタッペンはまだ疑問を抱いていました。「いや、僕は違うよ。僕が?本当に?だって、みんな僕に違うことを言うんだ」。一方、ホーナーは表彰式まで自分のドライバーがタイトルを獲得できたか確信することはなかったといいます。

この勝利は、フェルスタッペンが世界選手権連覇を飾るにはふさわしいものでした。ただ複雑なルール設定はやめるべきでしょう。誰もわからないルールは正確かもしれないが、誰も喜びはしません。

このレースがどういう結果であろうとも、フェルスタッペンのタイトル獲得を妨げるものはなにもなかったとはいえ、本来であればこのワールドチャンピオンがフィニッシュ直後に無線でチームスタッフと喜びを分かち合い、マシンを止めて喜びを爆発させる場面を見たかったというのが、多くのF1ファンの本音ではないでしょうか。

せっかく久しぶり鈴鹿でチャンピオンが決まったのですからね。素直に喜びたいところでした。これではサッカーでせっかくのゴールがVARによって感情の爆発が奪われるのと似ていて、盛り上がりに欠けますよね。

そして最後に鈴鹿と日本のファンをこよなく愛するベッテルが最後の日本GPを終えました。予選終了後に感謝の言葉を残してくれたベッテル。これが彼の日本でのラストランです。スタート直後に接触して最後尾まで落ちながらも、レース再開後に誰よりも早くタイヤ交換して、大きくゲインして最後の日本GPを6位で終えることになりました。そんなに日本や鈴鹿が好きなら、スーパーGTやスーパーフォーミュラで走ってくれたらいいんですけどね。ただ家族思いのベッテルには、ひとり離れて日本に暮らすのはちょっと難しいですかね。

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