2005 F1 Rd.10 フランスGP観戦記
琢磨が今シーズン初めて魅せてくれた。
予選での走りは素晴らしかった。
ほぼ完璧なラップで、その時点でのトップ、モントーヤを0.7秒以上上回る最速ラップを記録。
その直後のアロンソにそのタイムを更新されてポールポジションは夢に終わるも、全体で5位で予選3位ライコネンの10番手降格で4番グリッドからのスタートとなった。
久しぶりの上位スタートで期待の持てるレースになると思ったのだが。
期待した得意のスタートだったが、バリチェロに先行を許す厳しい展開。
琢磨もいいスタートを切ったが、バリチェロは更に上を行くいいスタート。
ヘアピン以外では抜けないサーキットで序盤は順位に変動なく進んでいく。
22周目にそのヘアピンで周回遅れがからんだところを見逃さずバリチェロをパスして、順位を一つあげる。
更にペースが上がらないツゥルーリを追いつめて26周目のヘアピンでブレーキングを遅らせてインに飛び込むものの、突っ込みすぎで大きくコースアウト。
外側のグラベルまで飛び出し、リアタイヤのグリップが徐々になくなりタイムが上がらない。
その後はコースアウトしたマシンがはき出した石に乗り上げ、スピンしたこともあり、結局11位でフィニッシュ。
スタートはバリチェロに先行されたものの、悪くなかった。
そのバリチェロを抜いたところも素晴らしかった。
しかしツゥルーリを抜くときのブレーキングが遅すぎた。
ブレーキングを遅らせて飛び込んだので、止まりきれないのは仕方がない。
ただグラベルまで飛び出してしまったのは痛かった。
その際に数台に抜かれて順位を落としたし、その後はリアのグリップがなくなったようだ。
ツゥルーリのインに飛び込む際に、ブレーキングを完全にコントロールできなかったのは琢磨のミスだろう。
琢磨のブレーキに問題があったかどうかははっきりしないが、大きすぎた代償だった。
果敢にオーバーテイクに挑戦するのは琢磨のセールスポイントだが、ここでは裏目に出てしまった。
その後、他のマシンが飛び出したときに出てきた石に乗り上げコースアウトして更に順位を落としたが、これもヘアピンでのコースアウトがなければ避けられたこと。
琢磨は速さを見せてくれるのだが、一つのGPを通してみた場合、昨年同様ミスが多い。
最後の一周までトップを走っていても最後に止まってしまえばリタイヤになるモーターレーシングではミスは少なくしながら、速いタイムを出せるようにならないともう一つ上のレベルに行くのは難しいだろう。
▽アロンソ独走とライコネンのねばり
レース自体はポールポジションからスタートしたアロンソが独走し、今季4勝目をマークした。
スタート直後からペースの上がらない二位のツゥルーリが後続を抑える形になり、アロンソの独走を助けた。
ライコネンはエンジン交換のペナルティを受け、13位からのスタートで苦しいレースが予想されたが、さすがは最速のマクレーレン。
2ストップ作戦も上手くいき2位に入る。
ライコネンとしてはアロンソとの差が拡大するのを最低限に抑えられたのは良かったが、この速さがあれば優勝も夢でなかっただけに複雑な心境だろう。
燃料搭載量が8ラップ分重かったのにもかかわらず、アロンソとの予選のタイムが0.147秒差。
同じ燃料搭載量であればライコネンはアロンソを遙かに凌駕するタイムが出せていた可能性が高い。
たらればはいっても仕方ないが、ここでのメルセデスエンジンのトラブルは痛かった。
昨年も何度かエンジントラブルを起こしているメルセデスエンジンの耐久性を上げていかないと、完走率が高いアロンソを追いつめるのは厳しいだろう。
ミハエル・シューマッハーはUSGP優勝で最後の予選アタックを活かし、予選4位、3番手スタートを得る。
ここまでは良かったのだが決勝レースではペースの上がらないツゥルーリに押さえ込まれ序盤にアロンソに大きな差をつけられ優勝は望めなくなった。
その後、マクラーレン二台に抜かれるもモントーヤのリタイヤで3位入賞を果たす。
ミハエルは前回のUSGPでの優勝で密かにドライバーズランキング3位に浮上。
ライコネンとの差はわずか5ポイント差だ。
ただ、最速マシンを持つライコネンに比べるとミハエルがこれからアロンソをひっくり返すのは、アロンソが自滅しない限り無理だろう。
バトンは琢磨と違い2回ストップでコンスタントに走りきり4位入賞。
今季初入賞をBARにもたらした。
▽イギリスGP展望
次はF1GP発祥の地、シルバーストーンでおこなわれるイギリスGP。
高速、中速のコーナーが多く、エンジンパワーとマシンバランスの両方が求められる難しいコース。
エンジンパワー的にはルノーが良さそうだが、マシンバランスの良さでいえばマクラーレンがベスト。
アロンソ対ライコネンの直接バトルが見られそうで楽しみだ。
メカニカルトラブルなどで水を差されないことを望む。
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