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2011 Rd2 マレーシアGP観戦記

△時間の表現者 ルイス・ハミルトン このレースも予選からベッテルとハミルトンの激しいバトルが繰り広げられた。 開幕戦も予選1位と2位の両者だったが、二人の差は0.8秒と大きかった。 だが今回はわずかに0.1秒差。 長い直線が2本あるセパンでは、KERSが非常に有効なサーキットである。 その為、レッドブルもKERSを搭載して予選に臨み、ベッテルはかろうじてハミルトンを抑えて2戦連続ポールポジションを獲得したが、二台の差は劇的に小さくなった。 開幕戦でのマクラーレンは新しい空力パーツをたくさん持ち込み、速さを回復したが、セットアップを煮詰める時間が足りなかった。 今回、新しいパーツは少なく、彼らはセットアップを詰めることに集中し、レドブルに肉薄。 それにしても、僅か2週間でこれほど差を詰めてくるマクラーレンは驚きである。 毎年、彼らの開発力は目を見張る物があるのだが、今年は特に素晴らしい。 確かに彼らのしていることは、レッドブルのコピーなのだが、短時間でレッドブルのマシンコンセプトを見抜き、それを短時間にコピーすることは、なかなかできることではない。 そしてそのマクラーレンの開発力を、タイムに表現する男がルイス・ハミルトンである。 マシンのパフォーマンスはレッドブルの方がまだ若干高いはずだが、ウェバーを上回ってしまうところに、ハミルトンのすごさがある。

レースではレッドブルに対して自信を持っていたハミルトンだったが、思わぬ展開で、厳しいレースになってしまう。 実はこのレース、例年スタート位置はPPが左側だったのだが、右側に変更された。 ただこのコースは最終コーナーが左回りで、第一コーナーが右回り。だから偶数列と奇数列のスタートの有利不利はあまりない。 実際、このレースでも偶数奇数の有利不利は見られなかった。 その為、偶数列スタートのハミルトンもいいスタートをきり、ベッテルに迫るがブロックされてオーバーテイクできなかった。 ブロックされてスピードが落ちたハミルトンを、アウト側から素晴らしいスタートを見せた、ハイドフェルドにパスされてしまう。 DRSを使いハイドフェルドを追い越したいハミルトンだが、トップスピードが高いルノーを抜くことができない。 そして、その間にベッテルに差を広げられてしまう。 最初のピットインのタイミングでハイドフェルドをかわしたハミルトンは、第2スティントではベッテルよりもペースが良く差を縮める。 だが第一スティントでの差が、ベッテルに余裕を持たせる。 ハミルトンが展開を打開すべく先にピットに向かうのだが、ベッテルは余裕を持って次の周にピットへ向かい、トップを維持。 そして第3スティントでハードタイヤを履いたハミルトンのタイムが、途中から落ちてくる。 一方ソフトタイヤのベッテルはペースが落ちない。 ハミルトンにはソフトタイヤの方が合っていたので、この選択は間違いだった。 どうしてマクラーレンが第3スティントにハードタイヤを選択したのか、不明である。 そして、ハミルトンは3回目のピットインの際、タイヤ交換に手間取りバトンにかわされて3位に後退。 これはトップを走るベッテルにとっては幸運だった。 2位がバトンでは、ベッテルにかかるプレッシャーが全然違う。 実際、バトンはベッテルにプレッシャーを掛けることができずに、レースを終える。 △猛追するアロンソ 第4スティントでタイヤのタレが大きかった、ハミルトンは特にコーナー立ち上がりでスピードが伸びず、アロンソに迫られる。 アロンソのスピードはハミルトンを凌駕していたが、彼のマシンはDRSにトラブルを抱え、ハミルトンを抜けない。 そして、コーナーの立ち上がりでトラクションがかからず加速の鈍いハミルトンに、加速の伸びが良いアロンソが急接近し、避けきれずに接触。 アロンソはウィングを破損して表彰台の希望が消えてしまった。 この接触は、どちらかが一方的に責任があるとは言えない。 ハミルトンのリアタイヤの状態は非常に悪く、それ故にトラクションがかからず、マクラーレンの加速はアロンソの予想以上に鈍く、アロンソは避けきれなかったのだと思う。 フェラーリはまだまだ予選一発のタイムが良くなく、アロンソは予選5位にとどまった。 レースペースがいいフェラーリなのだが、後方からの追い上げだと、リスクは高くなる。 それにアロンソはレース途中からトラブルにより、DRSが使えなくなるというトラブルに見舞われる。 それさえなければリアタイヤの厳しいハミルトンをアロンソは簡単にかわせたのだが、不運だった。 ヨーロッパ・ラウンドに入るまで大きなアップデートがないようだと、次の中国GPも厳しいレースになるだろう。 だがそんなことで諦めるアロンソでもない。 ベストを尽くして一つでもいいポジションを狙い、1ポイントでも多いポイントを持ち帰ろうとするだろう。 それがチャンピオンというタイトルを二つ持つ男アロンソなのだ。 接触されたハミルトンはその後、ピットへ向かい4回目のタイヤ交換する。 接触のダメージは大きくなかったが、タイヤのグリップがなくなり、タイヤ交換するしか選択肢がなかった。 結果的にハミルトンは第3スティントでハードタイヤを履いたのが、悔やまれる。 なぜかハミルトンのハードタイヤはソフトタイヤより寿命が短かった。 これがピレリタイヤの特性なのか、製造品質なのかは現時点では不明だが、理解するのが難しい。 △疑問の残る二つのペナルティ それにしても今回、ハミルトンとアロンソに下されたペナルティには首をかしげざるを得ない。 ハミルトンがアロンソをブロックしたペナルティだが、スタート時にベッテルがハミルトンに対してブロックしたケースの方がより深刻だと思う。 スタート時のベッテルの動きは、ペナルティでもおかしくなかった。 そのベッテルは何のペナルティもなく、ハミルトンだけがペナルティというのは疑問が多い。 ちなみにベッテルは、オーストラリアでもバトンをアウト側から抜く際に四輪をコース外に出したが、ペナルティを受けなかった。 今年はこのレギュレーションが厳格化され、四輪をコース外に出した場合、アドバンテージを得ることは禁じられている。 アロンソの接触は、ハミルトンの加速が鈍すぎて、予想外にスピードの差があったので、アロンソが避けられなかっただけで、悪質には思えない。 アロンソレベルのドライバーが後ろから接触すると言うことは、よほどハミルトンの加速が悪かったとしか考えられず、避けようがなかったと思う。 △薄氷の勝利 ベッテル かろうじてスタートでハミルトンを抑え込み、レースの主導権を握ったベッテルだったが、簡単な勝利ではなかった。 第2スティントでハミルトンにプレッシャー掛けられながら、KERSを使うことができなかったベッテルは厳しい走りを強いられた。 ところがハミルトンが第3スティントでハードに換えてペースが落ちる。 そしてハミルトンがピットの作業ミスで、順位を3位に落としてからは、プレッシャーが軽くなり、そのまま2連勝を飾った。 スタートでベッテルが厳しいブロックをしていなければ、もしこのブロックがペナルティになっていれば、ハミルトンが第3スティントでハードタイヤを選択していなければ、ハミルトンが3回目のストップでタイヤ交換に時間がかからなければ、ベッテルが勝てたかどうかは、微妙である。 レッドブルとマクラーレンの差はかなり縮まっており、KERSの信頼性に不安を抱えるベッテルにとって、マレーシア同様長い直線を二本抱える次の中国GPは更に厳しいレースになりそうだ。 ウェバーはスタートからKERSが使えず順位を大きく落として、ベッテルはスタートでは使えたが、レース中のほとんどで使っていなかった。 彼らのKERSは熱の問題を抱えていると言われており、暑いマレーシアでは当然、厳しいことが予想されていた。 中国はマレーシアより涼しいので多少改善されると思われるが、根本的な解決をしないと、今後もKERSに悩まされることになるだろう。 △連続入賞の可夢偉と好調ルノーの連続表彰台 可夢偉は予選10位から、2ストップ作戦を選択。 ハミルトンのペナルティもあり見事に7位入賞。 開幕戦失格の嫌なムードを吹き飛ばした。 ただ今年のピレリタイヤはタイムの落ちが激しく、ロングスティントではライバルに比べて1秒以上遅くなることがある。 そうなると一概にピットインの回数を減らしても、トータルで見ると単純に有利とも言えない。 今回も可夢偉の直後のミハエルとの差は約18秒。 これは1回多くピットインすると逆転される差ではあるが、新しいタイヤを履いていればある程度はリカバリーできるので、3ストップでも7位は可能だった。 今後はペース次第で、ピットインの回数を臨機応変に変える必要があるだろう。 開幕戦は失格になったが実質的には連続入賞であり、今後に期待が持てるレースだった。 次の課題は、Q3に新品のソフトタイヤを1セット余らせて進出したい。 第一戦、第二戦ともに新品のソフトタイヤ使い切った状態でのQ3進出だったために、Q3で実力を出し切れたわけではない。 予選でもう少し順位を上げられれば、レースが荒れれば、表彰台も夢ではない。 ルノーが連続表彰台を獲得。 開幕戦のペトロフに続き、ハイドフェルドが3位入賞。 最後はウェバーに迫られるも高いトップスピードを活かして逃げ切りに成功。 開幕でペトロフが表彰台に乗ったので、かなり焦ったニックだったが、なんとかベテランのプライドを保つことができた表彰台となった。 スタートでジャンプアップして2位にあがれたことが、キーポイントだった。 ハイドフェルドのトップスピードはレース中、トップ。 今年のルノーは侮れない。 これにアロンソクラスのドライバーが乗れば、チャンピオンも狙えるかもしれない。 それくらいマシンのできは素晴らしい。

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