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2011 Rd16 韓国GP観戦記 ーなぜハミルトンは敗れたのか?

F1 Grand Prix of Korea - Qualifying

  ルイス・ハミルトンはなぜ勝てなかったのか?

あまりにも不可思議なルイス・ハミルトンの敗北だった。Q2ではライバルに0.7秒もの大差を付け、Q3でも0.2秒差を付けてのポールポジション。スタートさえ失敗しなければ勝利の確率は高かった。そして彼はスタートも成功させ、主導権を持ってレースを走れると思ったのだが、1周目のターン4でベッテルにあっさりと抜かれてしまう。

 

この場面を振り返ってみよう。ターン4の一つ前のターン3でベッテルがアウトから仕掛けて、ルイスはインを押さえる。そうすると立ち上がりがルイスは苦しく、ベッテルの立ち上がり加速はよかった。ベッテルはハミルトンのスリップストリームに完全に入って抜いていった。

予選での走りを見ていると予選重視のハミルトンはDRS使用時に最適化するため、高めのギア設定をし、ベッテルはDRSを使えないレース時に最適化するために、低めのギア設定をしているように見えた。この場合、ベッテルの方が低速からの加速はよく、その二つの要因が重なってベッテルはハミルトンのインサイドに入り抜いていったのだと思う。

 

だがレース後にわかったことなのだが、ルイスのマシンはフロントウィングに問題を抱えてダウンフォースを失っており、かなり強いアンダーステアに見舞われていた。彼のフロントウィングには、大きなタイヤかすがギャップの間に挟まっていて、ダウンフォースを大きく失っていた。

 

それを考えるとルイスがほとんど抵抗もなしにベッテルに抜かれたことも理解できるしレース中、彼がアンダーステアを訴え続けていたこともわかる。

 

だからそれを考えると、彼が今回好調だったマーク・ウェバーを抑えきって2位になれたことは賞賛に値する。彼がレース後のインタビューで結果に満足していたのは、そういう背景があったからだ。

 

それにしても最近のルイスはついていない。何もなければ勝てる可能性が高かったレースだったのに。

▽三者三様のレース 最大のライバル ルイス・ハミルトンが失速した後のベッテルは、後ろのギャップを見ながらタイヤをいたわりつつレースをリードする、いつものスタイルで逃げ切った。 レース後半にセクター3で全体ベストのタイムを出したので、エンジニアからタイヤをいたわるように指示を受けていたが、ベッテル自身はプッシュしている意識は なく、フューエルエフェクトの大きいこのサーキットで、普通に走ったら燃料が軽くなった分、速く走れてベストラップが記録されたということだろう。ただ最 終ラップにファーステスト・ラップを記録したのは、意識していたと思う。 マーク・ウェバーに関して言えば、今回かなり強力な走りを見せてくれた。ハミルトンさえパスできれば、ベッテルに迫ることも可能だっただろう。ただ彼のマシンもレース重視のセットアップでギア比を低めにしていた。その為、DRSを使用してもトップスピードが伸びず、またDRSゾーンも短かったので抜くことはできなかった。逆にルイスは高めのギア設定でストレートスピードが速く、またターン3KERSを全放出するなどの戦術を駆使して、マークを抑えきった。 アロンソはレース終盤に無線で“I give up”と数回叫んでいたが、これは前段階があり、アロンソがピットに残り何周かを問いかけ、そ の回答とバトンとの差を考えると、追いついても抜けないという意味で話したのであって、あきらめたわけではなかった。アロンソがそんなに簡単にあきらめる わけはない。ただ彼のマシンはオプションをはいた第一スティントで速さがなく、マッサより遅く、マッサに抑え込まれているように見えたが、現実はアロンソ が抜くだけのスピードがなかった。 第二スティントでプライムに変えてからはペースが上がり、第三スティントではコース上で最速の一人として2位グループを追いかけたが、時間切れで5位フィニッシュとなったが、何もなければ今のフェラーリはマクラーレンとレッドブルより遅いので、この結果は望みうる最高の結果であろう。   2ストップだった理由 予選終了後はベッテルが冗談めかして「6ストップで、最後はインタミディエイトでフィニッシュだね」と話していたくらい、厳しいスーパーソフトとソフトタイヤの組み合わせであったが、終わってみれば2ストップが多く、ピットストップの回数としては、少ない部類のレースとなった。この理由としては、このサーキットは昨年のF1開催から一度もレースが開催されておらず、路面状況としては公道サーキットと同じで、金曜日(今回は金曜日が雨だったので、土曜日)から日曜日にかけて、路面状況が劇的に改善されてきたことがあげられる。この前兆として土曜日のフリー走行で10周走っても大きくタイムが落ちるマシンがいなかったこともあった。ただフリー走行が実質、土曜日1時間だけと言うこともあり、どのチームもロングランテストを十分にこなせていなかった(特に満タン時の)。その為、タイヤ交換時期はレースのラップタイムを見て、臨機応変にやらざるを得なかった。 レースでは第一スティントでオプションを履くマシンが多かったが、10周以上持ったし、第二スティントもオプションでいくマシンも多かった。ただハミルトンの第二スティントは長く引っ張りすぎて、完全に崖に入った状況でピットに向かうことになった。ここで数秒失ったハミルトンはベッテルに大きく離されてしまう。逆にこの状況でウェバーは1周早くピットへ入っていれば、ハミルトンを抜けていた可能性が高かったが、実際には同じラップで入ってしまい抜くチャンスを逸してしまった。ここがマークにとってルイスを抜く唯一のチャンスだった。   苦しいレースの続く可夢偉 正直に言えば、ブロウン・ディヒューザーを持たないザウバーにフォース・インディアやトロ・ロッソに対抗することはできないだろう。ここまでくればドライバーの腕でカバーできる範囲ではない。だから可夢偉が予選で14位なのも精一杯の結果である。レースでも接触などがあり15位だったが、何のトラブルが無くても入賞するのは難しかっただろう。 最も効率的にブロウン・ディヒューザーを駆使すると最大20%ものダウンフォースを増加させられるという。これだけの差があれば、ドライバーにできることは限られている。 残念ながらブロウン・ディヒューザーを持たないザウバーの可夢偉はシーズン最後まで我慢のレースを強いられるだろう。

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