きみは1971年のモナコGPを見たことがあるか? 映画 ウィークエンド・チャンピオン
奇跡的に発見された1本のフィルム。
そこにはF1がスポーツ本来の輝きに満ちていた時代のモンテカルロが映し出されていた。
3回のワールドチャンピオンに輝き、永らく27勝という最多勝記録を維持していた歴史に残る名ドライバー ジャッキー・スチュワート。その彼が過ごす1971年のモナコGPにカメラが密着。
木曜日にから現地に入るスチュワート。写真撮影に答える彼がフランス語を流暢に話すのに驚く。
そしてチームメイトであるフランス人 セベールにコースの攻略法を教える姿は、現在では失われたスポーツ本来のあり方を思い出させてくれます。
スチュワートとポランスキーが2人でサポートレースのF3をコースサイドで見ている場面もおもしろい。次々と通り過ぎるF3ドライバーのドライビングをスチュワートが評価していく。今のドライバーはライン取りがなっていないとか、ブレーキングをミスしたとか、まるで自分が運転しているようである。
この年代のF1でおもしろいのは、ウィングをつけているマシンもあれば、いないマシンもあり、両者が入り乱れて普通にバトルしています。ちょうど空力の概念が導入される過渡期の時代です。
土曜日の予選から日曜日のレース。トップを走るスチュワート。そしてレース終盤の雨。そしてその結果は……。
ジャッキー・スチュワートの友人だった映画監督ロマン・ポランスキーが企画したこの映画。
試写会にご招待いただき、見てきたのですが、とにかくおもしろい。かつてのモナコGPのコースを見られるだけでも興味深い。プールサイドシケインはないし、トンネルも今よりかなり短い。そしてラスカスなどもなく、最終コーナーはただのヘアピンコーナーである。
ピットレーンはなく、コース端にマシンが止まっているのも、目を疑うような光景である。
1970年代のF1の大量の映像が残っていることが貴重である。昔はF1の全戦生中継などはヨーロッパでもなかった時代である。
映画最後の現在のスチュワートとポランスキーの対談もまたおもしろい。いちばん興味深いのは彼の現役最後の年にはマシンの挙動が予想できたので、速く走れながらも、ミスが少なかったと述べている点である。これは最高のドライバーだけが到達できる、究極のドライビングである。
正直に告白すると、この映画はラッシュよりも何倍もおもしろい。ラウダファンの私がいうのだから間違いない。本物の映像は訴えかける迫力が違う。ここにはCGはない。だがそれだけに、この映像は見ている人に強烈に訴えかけてくる。
1979年代以前からF1を観ている人には必見の映画である。この時代の動いているF1をこれだけ見られる機会はそうはない。そして若い人が昔のF1を理解するのに、これほどいい教科書もない。
そして今も昔もF1ドライバー達のすごさに関しては、何も変わっていないことを感じさせる映画である。
6月頃に渋谷 シアター・イメージフォーラムでモーニング&レイトショーの予定です。是非、ご覧下さい。見る価値はあります。
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