2005 F-1 Rd19 中国GP観戦記
ブラジルGPから日本GPとマシンをアップデートしてきたルノーのアロンソがマクラーレンを圧倒。
シーズン中盤から後半、マクラーレンにやられっぱなしだったアロンソが見事な復活劇を見せてくれた。
予選のマクラーレン二台は明らかに燃料搭載量が多く、決勝レース重視の戦略。
しかし今回、マクラーレンは運に見放された。
このGP、2回セーフティーカー(SC)が導入されたが、そのタイミングがマクラーレンには少し早かったのだ。
マクラーレンは燃料搭載量が少なくなり、これからタイムが上がりそうな段階でSCがコースイン。
第一スティントを長めにしてルノーをかわそうとした戦略が裏目に出た。
逆にアロンソは序盤軽めの燃料でリードを築き、燃料補給が近づいていた時にSCが導入され、すかさずピットイン。
ただアロンソもこのSC導入で築き上げたリードを失った。
これによりアロンソとライコネンはほぼ同じ条件になったが、アロンソはSCがピットインした後も速さを見せつけライコネンを圧倒。
今回のアロンソは手がつけられないほど速く、チャンピオンの貫禄を見せつけた。
ライコネンは燃料搭載量の多かった序盤はペースが上がらず、1回目の燃料補給後もフィジケラについていくのがやっと。
とてもアロンソを追いかけるという展開ではなく、終盤にファーステストラップをマークしたが、時すでに遅し。
アロンソは今期7勝目をマークし、勝ち星でライコネンに並んだ。
そしてルノーはコンストラクターズタイトルを獲得し、ドライバーズチャンピオンとあわせてダブルタイトルを手にした。
それにしてもモントーヤはついてなかった。
前を走るフィジケラとライコネンは浮き上がった排水溝のふたをよけられたが、立ち上がりで外側にふくらんでしまったモントーヤはよけきれずに接触。
タイヤ交換を余儀なくされ、最終的にはエンジントラブルでリタイヤ。
ただこのエンジントラブルは踏みつけたときに壊した排水溝の破片が、ラジエーターを直撃したのが原因。
モントーヤにとっては何ともやりきれないレースとなった。
排水溝のふたはかなりの重さだが、F1マシンは1トン以上の負圧を発生させるのでボルト止めされてなければ、10kg、20kgのふたなら簡単に持ち上がってしまう。
本来はボルトで留めるべきものだが。
このふたの重量を考えるともし、跳ね上げた排水溝のふたが後ろのマシンのドライバーに当たっていたらと思うとぞっとする。
モントーヤのリタイヤは彼とマクラーレンにとっては痛かっただろうが、あの程度で済んだのは不幸中の幸いだったかもしれない。
▽BARホンダ最後のレースは消化不良
BARホンダとしては最後のレースとなったGPだったが、バトンは8位、琢磨はリタイヤとなった。
バトンはレース中を通じてペースが上がらず8位になるのがやっと。
琢磨は予選でミスをしてカーテキヤンより後ろのグリッドからスタート。
得意のスタートを期待したが、明らかなフライングでペナルティを受ける。
一か八か、スタートのタイミングを予測してスタートしたのだろうが、大失敗。
今のシステムだとスタートライトが消えてから0.3秒後くらいに動き出さないとフライングをとられる。
光を見知して人間が反応するまでに最低、その位はかかるという理由からだ。
そういう意味では勘が当たり、いいスタート切れたとしてもペナルティだった可能性は高い。
ただ日本GPでのクルサードも、明らかなフライングスタートだったのにこちらはペナルティ無し。
今のF1はマシンに送信機が装着してあり、フライングかどうかは正確に測れるはずなのだが。
▽さらば、ミナルディ
ミナルディチームは今回が最後のGP。
1985年に参戦以来、21年。
決して速くもなく、表彰台に上がることもなかったがF1にはなくてはならない存在だったと思う。
最後のダミーグリッドに向かうアルバースがフェラーリのミハエル・シューマッハと接触し、ひやっとしたがなんとかスペアカーでレースに参加。
アルバースはリタイヤ(完走扱い)となったが、ドーンボスは14位でフィニッシュ。
最後のレースを飾った。
ウェバーもアロンソもミナルディからF1にデビューし、速さを認められてステップアップした。
こう考えるとミナルディは貴重なチームだった。
チームは名前を変えて存続する。
今までもロータス、ブラバム等々名門チームがなくなってきた。
一部は名前を変えて存続している。
でも名前を変えずに残せなかったのだろうか。
もちろん名前を変えても、残れるだけ良いのかもしれないが。
そう考えるとマクレーレンの名前を残しているロン・デニスはF1の歴史に敬意を払っているのかもしれない。
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