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アロンソがチャンピオンを逃した三つの理由

今シーズン序盤、私はアロンソを今年のチャンピオン候補の最有力とお伝えした。ところが夏休みが明けるとベッテルが4連勝を飾り、ここに及んで楽観的な私もアロンソのチャンスがほぼなくなったことを認めないわけにはいかない。ではどうしてそうなってしまったのだろうか。 第一の理由はシーズン中盤のアップデートが成功しなかったこと。 昨年は序盤の不調をシーズン中盤以降のアップデートで盛り返し、あと一歩でチャンピオンにまで肉薄したアロンソとフェラーリだが、今年の中盤は一昨年のようにアップデートが不発になり、ライバルチーム遅れを取るようになった。彼らは自社の風洞での実験データと実走行データとの乖離に苦しみ、ドイツケルンのトヨタの風洞施設を使うようになったのだが、今年も上手くいかなかった。風洞施設を変更しても同じ過ちが繰り返されるということは、これは人災である可能性が高い。 第二理由は相変わらず悪い予選パフォーマンス。 昨年もそうだったが今年もフェラーリの予選パフォーマンスは悪い。彼らのスタートは抜群に良く3番手以内からスタートすれば、スタートでトップになることは夢ではないのだが、予選3列目以降が多く、これではいくらスタートが良くてもトップなることは難しい。そして2番手以降だと乱れた気流の中を走るので、タイヤの持ちが悪くなるという悪循環に陥ることになる。 アロンソがポールポジションをとったのは、昨年のドイツGPが最後だが、これは雨絡みの予選の出来事だった。彼がドライ状態でポールポジションと獲得したのは2010年のシンガポールにまで遡らなければならない。今年の最高予選順位は三位で、第5戦以降の最高予選順位は5位でしかない。今の抜きにくいF1で、これだけ予選が悪いと勝つのは難しい。 これはマシンのパフォーマンスが悪いということである。マシンのパフォーマンス不足をタイヤに優しいマシンとアロンソの引き出しの多いドライビングで補っているのであり、アロンソ以外の誰もこのマシンで、ここまでの結果を残すことはできない。 そして最後で最大の理由はタイヤの構造が変更されたことである。 今年のタイヤは構造が柔らかく、ダウンフォースが大きいと大きくたわみ、負荷が多かった。またコンパウンドも昨年より柔らかくなり、タレが大きくなった。その為、レッドブルはタイヤの消耗に悩み、彼ら自身が持つスピードを完全に活かすことができなかった。その為、フェラーリが昨年同様に効率的なアップデートパーツを持ち込めば、タイヤに優しいフェラーリのマシン特性とも考えてチャンピオンになるのはアロンソであると予想したわけである。 ところがこの構造の柔らかいタイヤは、タイヤへの負荷が大きいシルバーストーンでタイヤバーストを連発してしまう。信頼性に難があるこのタイヤをピレリはハンガリーGPから昨年とほぼ同じ構造に変更。これによりタイヤに苦しんできたレッドブルがそのスピードを活かすことができるようになった。またタイヤが問題になった前半戦の反省からピレリはタイヤを保守的に選択するようになってきた。保守的に硬めのタイヤを持つ込むことにより更にレッドブルに有利な展開になった。 そして夏休み明けのベルギーGPからレッドブルは新しいディヒューザーを持ち込み、それが効果を表しその後4連勝して、一気にチャンピオン争いに決着をつける勢いである。 最後まで何があるかわからないF1ではあるが、今年のチャンピオン争いは実質終わったと見てもいいだろう。彼とフェラーリのファンは、ロリー・バーンが本格的に復帰する来年度のマシンに期待しよう。 関連記事:今年アロンソがチャンピオンになるこれだけの理由 関連記事:フェラーリ 好調の秘密

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