2014 Rd.7 カナダGP観戦記 リカルド 実力と幸運の初優勝
今年めざましい走りを見せていたレッドブルのリカルドがついに自身の初優勝をかざった。今年、メルセデスが圧倒的に強い中、スペイン、モナコと連続表彰台。開幕の幻の表彰台も含めれば過去6戦で3回表彰台である。これは今年クラス違いの速さを見せるメルセデスが表彰台の上位二つを独占していることを考えれば、素晴らしい成績である。たがメルセデスはあまりにも速いので、初優勝には時間がかかると思われていた。
今回、優勝できるチャンスがあったのはペレスとリカルドとベッテルだった。ペレスは1ストップを狙っていたが徐々にブレーキが厳しくなり、ペースが上がらない。だがメルセデスエンジンを搭載するフォースインディアのペレスはストレートのスピードが速く、リカルドも抜けない。だが終盤、ついにペレスのブレーキは悲鳴をあげて、1コーナーでリカルドに抜かれてしまう。
その後は圧倒的なスピードでトップのロズベルグに迫り、残り2周のストレートで簡単にパス。最終ラップにはペレスとマッサが接触して、大きなクラッシュが発生。セーフティカーが入り、そのままリカルドがトップでチェッカーを受けた。
彼はスタート直後は6位でしかなかったのだが、徐々に順位を上げてきた。そして2回目のタイヤ交換をベッテルの1周あとにして、チームメイトをパス。これが彼の大きな勝因になった。この時、ベッテルが順位をキープしていれば勝ったのはベッテルだったかもしれない。
だがチャンスをものにするのもドライバー次第。今回もタイヤを温めるのに苦労したピレリタイヤ。ベッテルが先にタイヤ交換して苦しんでいる間に、いいタイムで走り追い抜いたリカルド。それもまたドライバーの能力の一つである。
どのドライバーにとっても初優勝は格別で特別である。だが一つしか勝てないドライバーもいるし、多く勝つドライバーもいる。リカルドがどちらの道を進むのかは、今はわからない。だが彼が勝てるドライバーである事は証明された。あとはたくさん勝てるドライバーである事を証明するだけである。
優れたドライバーの条件は勝てるチャンスで確実に勝つことである。これは簡単そうに見えて難しい。少なくともリカルドはこの条件を満たした。そもそもマシンを操ってドライバーの優劣を競うスポーツであるから、マシンの性能差が結果に表れることを防ぐことはできない。だが勝てるチャンスがある時に確実に勝てるかどうかは、全面的にドライバーの能力に依存する。
だからこそ、チャンスをものにするドライバーは優れていると言えるのである。
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