レッドブルはベッテルを優先したのか?
議論を呼ぶ日本GPでのウェバーの3ストップ。彼はベッテルを勝たせるために、犠牲を強いられたのだろうか?
もう一度、日本GPの状況を確認しよう。
フロントロウにいた二台のレッドブルはスタートで予選4位のグロージャンに先行され、2位と3位になった。第一スティントはグロージャンのペースがよく、ウェバーは11周目にタイヤ交換。グロージャンはそれに反応し翌12周目にタイヤ交換した。ベッテルは15周目まで引っ張ってタイヤ交換。ハードタイヤを選択したグロージャンはミディアムよりもバランスが悪くペースが上がらない。そこでウェバーは25周目に二度目のタイヤ交換をして3ストップへ変更。グロージャンは30周目。ベッテルは37周目にタイヤ交換に入る。ベッテルはグロージャンをコース上で抜き、ウェバーも抜いた。
チームはウェバーの第一スティントが短いのは、タイヤが限界だったからだという。だがラップタイムだけ見ると、限界には見えない。ベッテルの方がタイヤの状態はよかったが、タイヤ交換する必要があったかどうかは微妙だ。もちろんチーム側は我々が知らないデータを持っているので、本当に限界だったかどうかはわからない。だがこの時点でウェバーはまだ2ストップでいくことを考えていた。前の二台がいなくなったベッテルはクリアエアの中、自分のペースで走ることができた。これにより彼はタイムを稼いで4周引っ張ることができた。この時点でチームはベッテルの方がいいペースなのを確認。つまりグロージャンに勝つ確率は、ウェバーよりベッテルの方が高いと認識した。だから彼らは通常とは違う決定をした。
通常、チームメイト間では前を走るドライバーが優先される。だから通常であればウェバーが2ストップで、ベッテルが3ストップになってもおかしくはなかった。だがベッテルの方が速いし、タイヤの持ちがいい。ならばベッテルを2ストップにした方が勝てる確率が高いと判断した。
先日の観戦記でも書いたが、ウェバーが勝つ作戦としては3ストップはなかった。だが2位になる作戦ならばありだ。対グロージャンだけ見れば3ストップでも問題ないし、実際ウェバーは2位になっている。
これはナンバーワン優先とかいう話ではないし、レッドブルがベッテルをひいきにしているという話でもない。単純にチームにとって何がベストかを考えた結果である。もちろんウェバーにとっては非情な決定である。だがF1という弱肉強食の世界では、常に速いドライバーが優先される。そういう世界である。勝てるドライバーにはいいパーツも優先的に供給されるし、かつてはいいエンジンも供給されていた。それがこの世界の掟なのである。
結果的にレッドブルは1-2フィニッシュ。彼ら目的は達成された。
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