2014年の最初のプレシーズンテストであるヘレステストが1月28日から31日の4日間にわたっておこなわれた。今年は多くのレギュレーションが変更され、多くの変化が起こっている。4日間という短期間のテストだったが、その中で垣間見えた今年の様相を見てみよう。
一番驚いたことはメルセデスのパワーユニットのできが良かったことである。彼らはこの時点で信頼性の高いパワーユニットを作ってきた。メルセデスGPのロズベルグは4日間で合計130周以上を走り、レースシミュレーションすら実施することができた。これは大きなアドバンテージである。
メルセデスがパワーユニットを供給している4チームは合計4000Km近くを走破。多くのデータを収集し、ここでも他のチームを一歩リードしている。フェラーリ陣営はこの半分、ルノー陣営に至ってはこの6分の1しか距離を稼げなかった。
パワーユニット |
走行距離 (km) |
周回数 |
Mercedes |
3,874.5 |
875 |
Ferrari |
1,966.0 |
444 |
Renault |
668.6 |
151 |
とはいえフェラーリがメルセデス陣営に負けているわけでもない。チーム別の周回数を見るとフェラーリ、メルセデス、マクラーレンの3チームは250周前後を走行していて、大きな差があるわけではない。フェラーリ陣営とメルセデス陣営の大きな違いはマクラーレンがいるかどうかの違いにほぼ等しい。
ただこの時点でルノーが一人負けの状態であるのは間違いがない。彼らは4日間でわずか151周しかできていない。しかもエース格のレッドブルに至ってはたったの21周しかできていない。レッドブルの首脳陣は3日目のテストを早々に切り上げて、工場へ戻り対策のために大忙しである。しかもレッドブルの場合、トラブルの原因がルノーとレッドブル両方にある。ルノーエンジンに問題があるのは他の2チームを見ても明らかであるが、その中でもレッドブルは周回数が少なかった。
レッドブルが対策をしてくるのは間違いがないが、これからパッケージングを変更するとなると大仕事である。パッケージングとはマシン製作の基本であり、これを変更することはマシン自体を作り替えることを意味する。これは簡単にはできる仕事ではない。だから彼らはバーレーンテストまでに暫定の対策を施して、それと同時に開幕戦に向けての根本的な対策を考えざるを得ない。これはこらから開発をすすめるチームにとっては大きな障害である。