2016年シーズンで知りたいこと10のことーその8 ピレリはレースをおもしろくするのか
今シーズンもピレリは注目の的である。理由は今年から導入したタイヤ選択のルールである。昨年まではピレリが選んだ二種類のタイヤをレース中1回は使用しなければならないという比較的シンプルなルールであった。
だが今年は違う。あまりにも複雑なのでここでは説明を省かせていただくが、詳しい内容は過去のコラムを参照していただきたい。
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この複雑なルールも開幕して、シーズンが進むにつれチーム側の理解が深まると問題なく運用されていくだろう。
ここではもう一つの問題であるタイヤのタレを取り上げたい。ピレリタイヤの考え方はシンプルである。タレが激しいタイヤを供給して、タイヤ交換の数を2回以上にしてレースを盛りあげるというのが彼らの基本的な考え方である。これはFIAの考え方とも一致している。
だがこれまでピレリは構造が脆弱なタイヤを製造し、タイヤバーストをさせたりしたりもした。そのため近年は保守的なタイヤの投入が多く、シーズンも半ばになりチーム側のタイヤへの理解が進むと、1ストップ作戦が多くなっていた。
今年ピレリは初心(?)にかえり、タイヤの崖を復活させようとしている。タイヤの崖とは寿命が尽きると極端に数秒タイムが落ちる現象のことである。このため、各チームはタイヤの崖を迎える前にタイヤ交換しなくてはならず、スリリングな展開が繰り広げられると言うことである。
だが私はあえてこう提言したい。タイヤ交換の回数を1回にして欲しい。
これは最近、ニコ・ヒュルケンベルグも話しているがタイヤの寿命を延ばす為に、ドライバーはわざと遅く走っている。これはF1ドライバー達への冒涜ではないかと思っている。
というのもF1ドライバー達は世界一速く走れるドライバーである。その彼らにわざと遅く走らせておもしろいレースができるのであろうか。
当然、遅く走ればミスをする確率は低くなる。そうなるとオーバーテイクはさらに難しくなる。
それがファンの見たいレースであろうか。2017年からはダウンフォースやタイヤのグリップも増やしタイムを数秒あげようとしている。だがそれでもタイヤの崖があれば、ドライバー達はペースを抑制するだろう。
それがレースとしておもしろいのかどうかは、疑問である。
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